各国は家賃滞納者に猶予を与えているのに…

賃貸住宅市場には、一部を除いて大きな影響は出ていない。人は必ずどこかに帰らなければならないからだ。しかし残業がなくなったり、仕事そのものがなくなったりすれば家賃を支払うことが難しくなる向きは増える。

米国では個人や企業が家賃を滞納しても、家主は120日間延滞料を徴収しないとする経済対策法が成立。さらに家主がローンを払えなくても、60日間は金融機関が差し押さえできず金融機関に返済の6カ月延期を求めることができ、最大1年は支払いを先延ばしできる。期間終了後も、家主は通知後30日以内の立ち退き要求ができない。

英国では、6月30日まで家賃未払いを理由とした家主による退去要請を禁止。ドイツは家賃滞納による解約を禁止、4~6月分の家賃に限って2年間支払いを猶予する他、小規模の自営業者を対象に最大1万5000ユーロ(約180万円)をスピード給付する制度を導入した。オーストラリア政府も7日、家賃滞納による契約終了や、未払いに伴う手数料と利息の徴収を禁じると発表。シンガポール政府も企業や個人事業主に最大6カ月の家賃の支払い猶予を与える措置を決めた。

こうした他先進国の措置に比べわが国政府は、家主に賃料支払い延期を要請するに留まる。

中古マンション市場の先行きはどうなる?

中古マンション市場は、とりわけ都心部において日経平均株価と連動する。

現在の都心中古マンション成約平米単価は、株価が2万4,000円水準のもので、もし株価が1万9,000円程度で推移するなら、10~15%程度下落してもおかしくはない。ニューヨーク・マンハッタンの住宅価格は1~3月に11%下落、「外出自粛により住宅物件を見に行くことが難しくなった」「市況の先行き不透明感から消費者が売却を控える傾向が強まったこと」といった傾向が響いた。

都心マンションがアベノミクス以降1.7倍程度上昇したのに対し、東京郊外や神奈川・埼玉・千葉の上昇率は1.2~1.3倍程度と限定的で、下値もしかりだろう。