体罰をする人が「約9割→約1割」になったスウェーデン
体罰に関する各国の状況を調査・分析し助言等を行っている「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」は、2月28日、日本が世界で59番目の体罰全面禁止国になったと発表した。
1979年に、世界で初めて子どもへの体罰禁止の法的明示をしたのはスウェーデンだ。私は2010年、法的禁止から約30年たっているスウェーデンにプレスツアーで訪れ、議員やNGO関係者などに話を聞いた。街中で見かける親子の様子は、子どもが言うことを聞かなくても怒鳴ったり、叩いたりしないのが当たり前の光景だった。そのときに、日本も子どもを叩かないで育てる国にしたいという思いをあらたにしたのである。スウェーデンは1960年代に体罰を容認していた人が約9割、体罰を用いていた人が約6割だったが、2000年代にはそれぞれ約1割にまで減少している。
体罰を禁止したフィンランド、ドイツ、ニュージーランドなどでも、法改正後に体罰を容認する人の割合が大きく減少している。例えば1983年に法改正したフィンランドでは、体罰を容認する人は47%(1981年)から15%(2014年)まで減少した(※)。
※各国のデータは、セーブ・ザ・チルドレン「どうなる?子どもへの体罰禁止とこれからの社会」に基づく。
体罰禁止の浸透には、法的明記とともに啓発が不可欠だ。これからいかに日本の中に広げていくかが、重要である。
千葉地裁が心愛さんの父親に判決を出した3月19日、厚生労働省は『「体罰等によらない子育てのために」ポスター・パンフレット・リーフレット』をリリースした。社会全体で体罰などに頼らない子育てを考えるとともに、保護者が子育てに悩んだときに、適切な支援につながるようにすることを目的としている。
子どもがこまった行動をしたとき、言うことを聞かないときは、叩いたり怒鳴ったりしていうことを聞かせるのではなく、子どもの気持ちを尊重しながら、互いに違う考え方を伝え、相談・工夫しながら折り合いをつけて解決していく。それが定着したとき、体罰等によらない子育てをすることが当たり前の社会になるだろう。