あなた自身が「当事者」となる可能性もある

ここ数年は、精神障害者の方も、アパートや障害者グループホームに単身で退院することが増えました。しかし精神疾患者への偏見から、拒絶反応を示す地域住民は少なくありません。

私自身、入院中の当事者と退院先のアパートを探しにある不動産屋に行ったところ、精神疾患があると話した途端にけげんな表情をされました。「精神科にかかっている方は受け入れられない」と、きっぱり言われたこともあります。私の知る医療法人は精神疾患者のグループホームを立てる予定でしたが、地域住民が署名までして反対運動を起こしました。

こういった現状の打開に向けては、何はともあれ当事者とふれあってみてほしいのです。実はあなたの隣の家に、自分の支え方で苦労をしている当事者がいるかもしれません。あなたの知人は、過去にうつ病を患った方かもしれません。ちょっと神経質な言動をしている同僚は、実は精神科に通院しているのかもしれません。そのような人は身近にたくさんいるのです。あなたはその方々にひどい仕打ちを受けたでしょうか。彼らは普通の住民、同僚、仲間なのです。

ある当事者に「地域の方が自分にどう接してほしいか」と問いかけてみたところ、彼は「普通の住民と思ってほしい」と答えました。環境や状況によって、あなた自身も「当たり前の苦労」でつまずき、当事者となる可能性があるのです。「お互いさま」の気持ちで受け入れられる寛容さが広がってほしいと願っています。

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