「カネになる資産を叩き売って配当をよこせ」という手法

——レノ側の最終的な狙いは何だと考えるか。

東京都中野区にあるレオパレス21の本社(撮影=プレジデントオンライン編集部)

「臨時株主総会は手段に過ぎず、レノの目的は株主還元を含めたところだと考えている。当社は正式にレオパレスの事業についての考え方として打ち出しており、主力の賃貸事業については評価してもらっているようだが、その実現はあくまでも事業売却によって可能だというのがレノ側の主張だ。事業売却によって得られた資金は株主還元として配分することで株主の利益に通じると。それ以外の事業も譲渡や、レノ自身との何らかのシナジーを考えているようだった」

——カネになる資産を叩き売って配当をよこせと言うのが彼らの一貫した手法。レノの要求を拒否するには、そのための理屈が必要になってくる。

「主力の賃貸事業は土地・物件を所有するオーナーの資産、つまり物件を借り上げて受託し運用している。そのなかには短期で売買するのではなく、相続などで得た土地などを次世代に承継することを主眼としているオーナーもいる。一世代あたり30年の付き合いになり、ローンも25年から30年と長く、“オーナーあってのレオパレス”だ」

「われわれの事業はある意味で社会インフラ」

「共同経営している立場からすると、賃貸事業を手じまいしてしまえばレオパレスの存在意義がなくなってしまう。それが管理を任せてくれているオーナーの方々にとって本意であるのかどうか。資産を承継したいというオーナーの思いが頓挫する可能性もある。アパート建設に融資している金融機関もあり、物件を社宅として借りている企業の利用もある。

われわれの事業はある意味で社会インフラだと考えており、われわれとしてはこれをしっかり立て直して企業価値を高め、その一環として株主還元をするというのが一般的な考え方だろう」

——レオパレスの利益の蓄積を、トラブルになっているオーナーと株主の双方が取り合う構図になっており、会社を含めた三者が三つ巴になってしまっている。これをどう考えているか。

「株主の利益とオーナーの利益がもつれ合っているとは思っている。株主になっているオーナーもいて、どちらの利益を追求するのか、一見自己矛盾的なところもあるかもしれない。そもそも論で行けば、企業価値の源泉はオーナーとの長期的な賃貸事業にある。

オーナーの物件を借り上げて、賃貸需要に向き合い収益を上げていくことが企業価値になっている。企業価値によって定量的に得られる利益の配分が株主の配分につながってくる。オーナーの利益を全く無視して、株主の利益だけ優先するのでは、利益の源泉と言う意味で株主の利益だけを考えるということではないと思う」