検察や警察が虐待を立証するため、頻繁に相談を持ち掛けている医師は他にもいます。その人物も脳神経外科医ではありませんが、複数の裁判で今もSBS理論を肯定する証言を行っています。
一方的に虐待を疑われ、親子がバラバラに
事故や病気の可能性があると主張しているにもかかわらず、一方的に虐待を疑われ、親子がバラバラに引き裂かれてしまう家族の過酷な現実……。私が取材した方の中には、「揺さぶり虐待」と疑われたことが原因のひとつとなって離婚に追い詰められたり、親戚関係が崩壊してしまったりしたというご夫婦もおられました。
一連の問題を重く捉えた日弁連は、2月14日、「SBS(揺さぶられっ子症候群)仮説をめぐるセミナー『虐待を防ぎ冤罪も防ぐために、いま知るべきこと』」と題したシンポジウムを開催しました。会場には160人を超える参加者が駆けつけ、関心の高さがうかがえました。
セミナーのタイトルにもあるように、虐待は絶対に許されません。しかし、科学的に疑問符の付いた理論で冤罪が作られることも許されません。秋田弁護士が無罪判決後の記者会見で述べていたように、今こそ、多機関においてゼロベースで検証しなおす時期に来ているのではないでしょうか。今も多くの親たちが、揺さぶり虐待を疑われ、子どもと引き離されているのです。