高齢化とインフルエンザの拡大は関係あるのか

最後に、高齢化とインフルエンザの拡大との関係を探るため、OECDデータにおける各国のインフルエンザ死亡者数の増減傾向と高齢化との相関図を描いてみた。対象はOECD諸国とOECDのデータベースで取り上げられているパートナー国、合わせて42カ国である(図表5参照)。

結果は、カナダがややはずれた位置にあるが、おおむね、高齢化の進んでいる国ほどインフルエンザの死亡者数が多くなる傾向が認められる。

ブラジル、南アフリカ、コロンビア、ロシアといったOECD以外の国では、高齢化もあまり進んでおらず、またインフルエンザ死亡数もむしろ縮小している国もあるぐらいである。

新型コロナだけでなくインフル封じ込め対策にも本腰いれよ

図表5におけるインフルエンザの死亡数は各国の人口規模の違いを考慮して、人口10万人当たりの数字を採っている。死亡数の増加は、図表3では、米国や日本が目立っていたのであるが、これは母数の人口規模も大きいためであり、人口当たりの死亡数としては、カナダ、あるいはフィンランド、スウェーデンといった寒冷国での増加が著しいことがわかる。

米国や日本も拡大することは拡大しているが、それほど目立たない。日本の場合は、高齢化の割には、インフルエンザの死亡数の増加は、むしろ程度が大きくないともいえる。

いま、新型コロナウイルスの流行を食い止める対策は緊急の課題である。

だが、犠牲者の数からいえば、高齢化の進んだ先進国では、一般的に感染拡大が深刻化しているインフルエンザの封じ込め対策についてももっと関心が払われるべきであろう。

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