インフル「死者1万2000人」の内訳を見てみると
日本の値は、図表1と一致している。このことからも理解されるように、このOECDのデータは国際基準に沿った死亡診断書ベースの死因統計による結果であり、インフルエンザが直接の死因であるケースしかカウントされていないと考えられる。また、このデータは、死因統計のまとめの遅さのため、直近データが得られず、また暦年ベースの集計で流行シーズン・ベースの集計ではないという制約を抱えている。
ただ、新聞などで報道される各国の衛生当局のインフルエンザの感染者や死亡者の発表が、定義や把握法が同じ人数とは限らないのと比べると、相互比較の信頼性は高いと考えられる。
前述した米国CDCの推計(19年10月~2月1日までの死者1万2000人)は、インフルエンザから肺炎に移行して死亡したケースなど関連死を含む推計値なので、図表3のデータとは大きく異なる。
以下に、参考のため、報道された数字に関する米国CDCの原データを掲げておく(図表4参照)。1000人単位の数値であることからも理解されるようにCDC推計はあくまで推計値なのである。
日本は「米国のインフルの流行推移」にシンクロしている
米国CDCの推計方法は、インフルエンザで入院した患者数から一定の係数を掛けて非入院者を含めた「インフルエンザ死亡者数(関連死を含む・図表のオレンジ線)」を推計するという方法で、人数的には「死亡診断書ベースの死亡者数(図表の青線)」のおおよそ10倍の値となっている。
近年の動きについては、図表3~4で見る限り、米国のインフルエンザ死亡数はやや突出して多くなっている感がある。2000年代の前半までは人口規模(約3.2億人)の割に米国のインフルエンザ死亡数は多くなく、しかも、他国の流行とほぼ連動していた。
例えば、各国とも2001年は少なく、2003年や2005年は多くなっている。ところが、2008~09年や最近の数年は米国のインフルエンザ死亡数だけが特に多くなる傾向が認められる。
重要なのは、カナダやフランスなどとともに日本も、この「米国型の流行の傾向」にシンクロしているように見えることだ。罹患しないよう、米国のインフルエンザのニュースにも留意する必要があるかもしれない。