中国と韓国の関係が、相互補完から「競合」に変化

韓国経済が持ち直すには、輸出の増加が欠かせない。問題は、中国と韓国の関係が、相互補完的なものから競合相手へと、急速に変化していることだ。

中国は補助金政策を用いつつ、韓国から調達してきたDRAMなどの国産化に取り組んでいる。すでに中国のCXMT(長鑫存儲技術、旧名イノトロン)がDRAMの量産体制を整えている。ファーウェイ傘下のハイシリコン、アリババグループ傘下の平頭哥半導体(T-Headセミコンダクター)などは5Gだけでなく、推論用のAIを用いたチップ、自動運転向けの半導体を開発している。コスト、開発能力の両面において中国のイノベーション力にはかなりの勢いがある。

それに伴い、韓国製半導体への需要は低下する恐れがある。メモリ半導体を中心に輸出を増やしてきた韓国が、最先端、さらには次世代のテクノロジーを、迅速に、自力で生み出すのは口で言うほど容易なことではないだろう。

IT覇権国を争う米国と中国の摩擦は当分続く

米国でもAIや拡張現実(AR)に関する開発が進み、6G通信分野でも中国との競争が熾烈化している。農畜産物などの特定分野で米中が部分合意を経て休戦協定の締結に向かう可能性はあるものの、IT覇権国を争う米国と中国の摩擦は当分続く可能性がある。米中の摩擦が激化するなどすれば、世界経済の先行き懸念は高まるだろう。それは、世界の貿易取引を減少させ、韓国の成長率が低下する一つの要因になり得る。

また、文政権の経済政策を見ていると、本来必要な構造改革の推進は期待することが難しい。左派政権下、景気減速とともに労働争議が増えるなどし、資金(資本)の海外流出も続く可能性がある。

このように考えると、韓国経済が5G関連需要を取り込んで相応の安定感を取り戻し、その中で構造改革が進み、潜在成長率(経済の実力)が高まる展開は期待しづらい。今後も、韓国経済は不安定に推移するだろう。米国が景気循環上のピークを迎え減速が鮮明化すれば、世界経済全体の先行き懸念も高まり、韓国経済が長期の停滞に向かうとの懸念が高まる展開も排除しきれない。

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