韓国から海外に拠点を移す企業も増えている

足元、韓国経済は不安定ながらも、経済全体が大きく混乱する展開を何とか回避している状態にある。

2018年以降、韓国経済は、外部環境の悪化によって下り坂を転がり落ちるような勢いで減速し、それが内需の低迷につながったとみられる。特に、韓国にとって最大の輸出先である中国経済が成長の限界を迎えたことの影響は大きかった。

中国では、過剰な生産能力や債務問題が深刻化し、経済成長が限界を迎えている。共産党政権は減税や公共事業によって景気を支えようとしているが、目立った効果は出ていない。また、中国は生産年齢人口の減少を迎え、労働コストが上昇している。

それに加え、米中の貿易摩擦や米トランプ大統領の通商政策などを受けて世界のサプライチェーンが分断され、混乱に陥った。労働コストの上昇も重なり、“世界の工場”としての中国の地位は徐々に低下し、中国からベトナムなどの東南アジア新興国に生産拠点がシフトしている。韓国から海外に拠点を移す企業も多い。

米国経済が減速すれば、より大きな下押し圧力に直面

その結果、世界各国で製造業の景況感が悪化した。それとともに、輸出依存度の高い韓国経済では半導体の輸出で業績を拡大してきたサムスン電子をはじめとする大手財閥企業の業績悪化が鮮明となった。韓国にとって輸出は成長のエンジンであり、内需も弱含んでいる。

内需の落ち込みに関しては、文政権の経済政策も無視できない影響を与えた。文氏が所得主導の成長を目指して導入した最低賃金の引き上げは、中小の事業者を中心に企業経営を圧迫し、若年層などの雇用・所得環境が悪化した。

そうした状況に直面しつつも、韓国経済が“底割れ”というほどの急速かつ大きな減速・あるいは景気後退に向かう展開は避けられている。それは、個人消費を中心に米国経済が緩やかな景気回復を維持しているからだ。米国経済が世界経済全体の安定を支え、その中で韓国経済も不安定ながら景気が急速に冷え込む展開をどうにか回避できているというべき状況にある。見方を変えれば、中国の成長の限界に加え、米国経済の減速が鮮明化すれば、韓国経済はより大きな下押し圧力に直面するだろう。