アルバイトの帰り道の不運
「ほっそりしてスタイルもよく、目もクリクリしていて、とっても可愛い。モデルになっても、十分務まるわよ」
と近所の主婦が絶賛するほど。(中略)
E子さんは、あと半年もすれば高校を卒業し、就職することが決まっていた。〉
事件の発生状況については、こう書いている。
その1カ月半ほど前から、通学していた高校がある八潮市内のプラスチック成型工場でアルバイトを始め、いつも、学校を終えると、そのまま工場に直行していたという。
タイムカードによれば、この日は、3時56分に出勤して、工場を出たのが8時19分。〉
そのあと、自転車で約30分のところにある、三郷市内の自宅に向かうのだが、10分ほど走ったところで、女性を物色していたAとBの猿芝居に不運にもひっかかってしまう。
非行少年たちの溜まり場で監禁
正義の味方役のAは、
「いま蹴飛ばしたヤツは、頭がおかしいんだ。危ないから送ってやる」
E子さんにそう言って信用させ、近くの倉庫に連れ込むや豹変する。
「実は俺も仲間で、お前を狙っているヤクザだ。俺は幹部だから、言うことを聞けば命だけは助けてやる。声を上げたら殺すぞ」
そう脅迫して、ホテルへ連れ込んで強姦。その後、東京・足立区綾瀬にある悪玉役Bの自宅へ彼女を連れて行く。埼玉県三郷市と綾瀬は、川を挟んで隣り町だ。
このまま生きて帰れない運命とは、知る由もない。
この家の2階は、非行少年たちの溜まり場だった。彼らは玄関を通らず、昼でも夜でも電柱を伝ってベランダから部屋に出入りした。逮捕されたのは4人だけだが、凌辱に加わった少年は10人以上いたことがわかっている。
E子さんは、何度も脱出を試みる。一度は外へ出ようとして連れ戻され、この家の電話からの110番通報は途中で見つかって切られてしまう。それをきっかけに、凄惨なリンチが始まった。E子さんの家族からは捜索願が出されていたが、Aは自宅へ電話をかけさせ、「もうすぐ帰る」と言わせてもいる。