昨年度の入園者数は約230万人と過去最高に
「3年前から、『一緒に行きたいね』と話していたのですが、実際に来られて大満足です」
4月から新社会人になった20代の女性はこう話す。手に持つのは海浜公園内で売っている「ネモフィラブルーソフト」(400円)。園内を視察した際、テレビ番組でも紹介された商品を持つ姿に興味を持ち、話を聞いた。2人は大学の同級生だという。
取材当日の4月27日は肌寒く、客足も伸びなかったが、訪れた人は楽しそうに歩いていた。予想していたよりも若い世代が多く、家族連れも目立つ。犬と一緒に入園もできるので、愛犬同伴もいる。ちなみに翌28日は快晴で、入園客は9万人を超えた。
ネモフィラが評判になるにつれて、同公園の年間入園者数も拡大し、この10年で倍増した。2007年に初めて100万人を突破(約108万人)したが、2018年度は229万5361人(過去最高)となり、4年連続で200万人を超えた。
この「ネモフィラ」に、そもそも誰が目をつけて植えたのか。
「丘も青に染めたい」という声で満場一致
「もともと北米が原産の『ネモフィラ』ですが、和名を『瑠璃唐草』(るりからくさ)といい、家庭でも栽培できる草花です。でも、これまでは完全な脇役で、他の植物と組み合わせて植えられるような存在でした。大規模に栽培する公園でも『春の花はポピー、秋はコスモス』が一般的だったのです」
中島健雄さん(国営ひたち海浜公園・企画二課)はこう説明する。当時は同公園の業務課長で、“ネモフィラの育ての親”と呼ばれる存在だ。栽培を始めた経緯をこう明かす。
「みはらしの丘は、晴れた日には青い空が美しく、海も見える場所。当時の業務課で群生させる花を相談していた時、『丘も青に染めたい』という声で満場一致したのです」(中島さん)
みはらしの花修景の始まりは、2001年6月ごろに「10月に花を咲かせる植物」としてコスモスが選ばれたことだった。次の「春向け」に「ネモフィラ」を選んだ。「みはらしの丘」は四季を通じて違う植物が楽しめる場所で、現在は夏から秋にかけての「コキア」も名物となっている。