今年の10連休に約58万人が訪れた人気の花畑がある。群生しているのは「淡い青」が美しいネモフィラだ。茨城県の国営ひたち海浜公園では、2002年にネモフィラを始め、それがSNSなどで「写真映えする」と話題になった。だが始めてからブレイクするまでは7年近くかかったという。人気観光地が出来上がるまでの裏側を関係者に聞いた――。
国営ひたち海浜公園(茨城県)の「みはらしの丘」でネモフィラが開花している様子。今年の10連休には約58万人が訪れたという。(写真提供=国営ひたち海浜公園、以下すべて同じ)

少し前まで認知度の低かった「ネモフィラ」

史上初の「10連休」だった今年のGW(ゴールデンウイーク)。国内外の観光地で羽を伸ばした人も多いだろう。

連休中、テレビの情報番組では「GWの観光スポット」を各局が何度も放送した。多くの番組で紹介されたのが「ネモフィラ」という青紫色の草花が咲く様子だ。

これを目玉に、各地で観光客を呼ぶイベントも実施された。たとえば大阪市此花区の「大阪まいしまシーサイドパーク」は5月6日まで「ネモフィラまつり2019」を初開催した。

昨年までは「大阪舞洲ゆり園」として「ユリの群生」を名物にしていたが、「ユリは球根なので二毛作、三毛作ができない。昨年、台風21号の暴風雨と塩害で畑が損害を受けたのもあり、代わりにSNS映えもするネモフィラを植えました」。

主催したピーエスジェイコーポレーション・取締役営業本部長の大木啓嘉(ひろよし)さんはこう説明する。会期中の入園者数は「24日間の限定開催で、10万~12万人を予想していたら、その倍の22万人もの方に来園いただいた」と驚く。「今シーズンは閉園しましたが、また来年『ネモフィラ』は予定しています」(同)。

“ネモフィラ人気の元祖”、茨城県の「国営ひたち海浜公園」(以下、海浜公園)では、多い年には1日約10万人の観光客が入園し、群生する「みはらしの丘」を楽しんだという。

少し前まで認知度の低かった「ネモフィラ」が、なぜここまで人気が高まったのか。海浜公園をはじめ、茨城県各地を現地取材して真相に迫った。