1日の労働時間は「約14時間半」に及んだ

同校の専任教諭(正規教員)の長時間労働は、過労死ライン(月80時間残業)を優に超える月100時間以上であった。朝6時半頃から夜9時頃まで休憩もなく働き、1日の労働時間は約14時間半。帰宅時間が終電間際になったり、学校に泊まり込んだりする教員もいたという。

長時間労働の結果、精神的余裕がなくなり、体調を崩してしまう教員も続出した。このような状態では、生徒に対して十分な教育やケアを行うことは難しくなる。

その上、早朝6時半からの理事長への「挨拶儀式」が義務付けられており、さらに教師たちを疲弊させていた。この「儀式」は、数十人の教職員全員が理事長室の前の廊下に一列に並び、一人ひとり理事長に挨拶をするというものであった。

また、同校は非正規雇用の問題も抱えていた。非常勤講師の賃金は授業時間1コマに対して約2000円のみで、授業以外の授業準備・教材研究、試験作成・採点、講習などはすべて未払いだった。

ほぼフルタイムで働いても、月の手取りは15万程度で、最低賃金水準の収入であった。その上、私学共済(私立学校の教職員を対象とした健康保険と年金の制度)には加入させず、一年ごとの有期雇用契約で、将来の見通しが立てられない状態にあった。

このような不安定な待遇に置かれ、十分に教育に集中することができるのだろうか。疑問を感じざるを得ない。

理事長への早朝の「挨拶儀礼」を拒否

正規教員の過重労働と教員の非正規化が「教育の質」を低下させ、生徒の教育に悪影響を与えていることは、現場の教師たちにとって明らかであった。このことこそ、正則学園高校の教師たちが立ち上がりストライキに踏み切った一番の理由だったという。

こうした問題を改善するため、教師たちは私学教員ユニオンに加入し、ストライキを行った。具体的には、上述した理事長への挨拶儀礼を拒否したのである。

もしこの儀式がなければ、授業の準備や教材の研究、生徒のフォローなど、さまざまなことに時間を使える。この「無益なサービス労働」の強要に、教師たちの我慢は限界を超えていたのだ。なお、このストライキには教員25人が参加し、授業などには影響をだしていない。

教師たちは、単に自分たちの待遇改善を求めているのではなかった。「理事長のためではなく生徒のために時間を使いたい。そのために学校の体質を改善したい」。このような想いこそ、彼らがこのような行動に出た理由なのである。