では、今回の沖縄県民投票について、特に朝日新聞、毎日新聞の「民意を振りかざす論理・ロジック」はフェアで、世の中を動かし、事態を動かすものか?

特に、朝日新聞、毎日新聞は自分たちの持論を正当化するときに民意を振りかざし、自分たちの持論とは反対の結論には「民意が全てではない!」と言ってその結論を否定する傾向が強い。ゆえに、彼ら彼女らのこの民意を振りかざす論理はまさにご都合主義の論理そのもので、今や朝日新聞、毎日新聞が民意を持ち出しても、世の中が動かなくなった。

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また僕が大阪市長時代に、大阪都構想をめぐって議会と対立し、2014年3月に出直し市長選挙をしかけたときは、対立する自民党・公明党・民主党・共産党などは候補者を立てなかった。彼らは選挙を無視し、投票率が上がらないように画策し、僕が再選されても「それは民意に支えられていない」と主張する作戦に出た。

その結果、211万4978人の有権者のうち23.59%が投票。投票数のうち87.51%の37万7472票を獲得して僕は大阪市長に再選された。

翌日の朝刊一面は、朝日や毎日に限らず、全紙、「過去最低の投票率!」を大見出しで打ち、橋下は市民から信任を得ていないと言わんばかりの報道だった。

確かに僕の出直し市長選挙の投票率は過去最低だった。しかし、そこを批判するなら、今回の沖縄県民投票の投票率も52%ほどで約半数の県民が投票していない。そうなると僕の出直し市長選挙の投票率も、今回の沖縄県民投票の投票率も目くそ鼻くそレベルで、僕の出直し市長選挙は棄権した人が多いので民意が反映されていないというのであれば、沖縄県民投票でも同じように民意が反映されていないと批判しなければならないはずだ。

それに僕も、出直し市長選挙で37万7472票の票を得た。歴代大阪市長が獲得した票に遜色のない票数だ。他方、今回の沖縄県民投票での反対票は43万4273票だ。なぜ大阪市民の37万7472票は軽視され、沖縄県民の43万4273票はそれだけ尊重されるのか。僕の出直し市長選挙での再選は市民に支持されていないというなら、沖縄県民投票でも同じように言わなければならないし、県民投票の民意を重視するなら、出直し市長選挙で僕が再選された民意も重視すべきだ。

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さらに、この沖縄県民投票の民意を聞け! と強く主張する者に限って、憲法改正の国民投票においては、直接国民が投票して決定する直接民主制の危険性をことさら指摘する。「国民は、そのときどきの風に流されやすい。だから国民投票で決めるのは危険だ」と。特に憲法改正に反対の朝日新聞的、毎日新聞的インテリたちはそのように言っている。

その論理でいくなら沖縄県民投票も危険になるはずだ。しかし、朝日新聞的、毎日新聞的インテリたちは沖縄県民投票の危険性は指摘しない。

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