■NG声かけ3 「あと10回やろう!」
「知識の定着には、反復学習が不可欠」と、同じ問題を解かせるのも意味はある。しかし、やりすぎてしまってはいないだろうか。
「反復学習が重要なときもありますが、すでに身についた子には面倒くさいでしょう」と杉渕さんが言えば、「子供の適性や学習進度が違うから、反復学習は万能ではありません。合わない子に簡単なことを何回もやらせると、勉強を修行のように感じてしまうでしょう」
と安浪さんも言う。
「塾や習い事の先生に反復学習の大事さを説かれ、それを忠実に守っている親御さんがいました。子供はもっと別の勉強をしたがっていたので、パズルや算数オリンピックに出るような応用問題など発展的なものを与えたらいいですよ、とアドバイスしました。算数があまり好きではない子の中には、簡単すぎてつまらないという子もいます。そういう子は、レベルの高い問題にチャレンジさせるといきいきします」(安浪さん)
反復をさせすぎて、子供が勉強自体に拒否を示すこともあるそうだ。
「そういうときは、勉強しちゃだめだよ、とやらせないのが一番効果あります。それで、お父さんとお母さんで計算の速さを競うなど勉強バトルをする。二人が目の前で楽しそうにやっていると、子供は必ずやりたくなりますよ。そうしたらしめたものですね」(杉渕さん)
■NG声かけ4 「Aちゃんは○○してるんだって!」
近所のしっかり者の中学生が登校前に勉強していると聞けば、わが子にも朝勉をさせてみようという気持ちが湧いてくる人もいるだろう。特にまねしたくなるのは、わが子を難関大や難関中に合格させた親御さんの手記という人も。しかし……。
「人のやり方がわが子にあてはまるとは限りません。4人の子供を東大理三に入れた佐藤亮子さんの本などを読んで、同じことを子供にやらせようとする人は結構多い。でも子供に合っていないことをさせて、勉強嫌いになったら本末転倒。本の中で一つでも自分の子供に合うものがあれば取り入れよう、というぐらいの気持ちで読むといいですよ、とアドバイスしています。それに佐藤家には4人の子供がいますが、よく読むとそれぞれに合った方法に適宜修正していたことがわかります」
と安浪さんは言う。子育てブログの家族をライバル視して、更新される情報を一生懸命追っているお母さんもいるそうだ。
「『同じ塾に通っているこの家では、算数の宿題を5分で解かせているから、うちの子も5分で!』とむちゃを強いる方もいます。理解度や習熟度は子供によって違います。わが子に最適な方法を探るのは非常に重要です」(安浪さん)
人は人と割り切ろう!