高齢者施設の実態を把握したい

読売社説は高齢者の感染にも注意を呼びかける。沙鴎一歩が最初に指摘した健康弱者の問題だ。

「今月に入り、高齢者施設での集団感染が目立つ。前橋市の特別養護老人ホームや兵庫県淡路市の養護老人ホームでは、複数の入所者が肺炎などで死亡している」
「体力が衰えた高齢者は、重症化しやすい。衛生管理の徹底や来訪者の制限、予防的な薬の投与など、細心の注意を払うべきだ」

敵は目に見えないウイルスだ。細心の注意を払っていても隙を突いて攻撃してくる。高齢者施設の運営者は気が抜けない。

来訪者はそんな高齢者施設の実態をよく把握しておくべきだ。施設の親や親戚を訪ねるとき、必ず手を消毒してから施設に入ってほしい。もし寒気がするなど体調が少しでも悪いようなら、往訪は慎むべきだ。

一度服用するだけで済む新薬ゾフルーザの功罪

次に読売社説は新薬の問題を指摘する。

「錠剤を一度服用するだけで済む新薬が昨年春に登場し、普及が進む。従来の治療薬は、5日間の服用などが必要とされるだけに、新薬の簡便性は際立っている」
「懸念は、耐性ウイルスが他の治療薬よりも生じやすいことだ。薬が効きにくくなり、症状が長引く。耐性ウイルスが周囲に広まる可能性も否定できない」
「医師は、こうした特徴を患者に丁寧に説明する必要がある。製薬企業はデータをさらに収集し、正確な情報提供に努めてほしい」

塩野義製薬(大阪市)が開発して、昨年発売したゾフルーザのことだろう。

そういえば、国立感染症研究所が24日、ゾフルーザを服用した患者からゾフルーザに耐性を持つ変異ウイルスが検出されたと発表した。この薬、開発の段階から耐性ウイルスが生まれやすいと問題になっていた。耐性ウイルスがさらに変異を重ねることで予想外の性質を持つ危険性もある。

治験(臨床試験)で耐性ウイルスが多発する問題は明らかになっていたはずである。なぜその時点で対策を講じなかったのだろうか。

製薬会社は人の命に直結する仕事をしている。利益優先では困る。たかが耐性ウイルスぐらいと軽く考えてはいなかっただろうか。