総裁選後の内閣、党役員人事で注目すべき3つの人事
総裁選後の内閣、党役員人事で、注目すべき3つの人事を「復習」しておこう。まず12人の初入閣の中で唯一の「若手」山下貴司氏を法相として入閣させた。山下氏は石破派から唯一の入閣。絵に描いたような1本釣りである。
続いて、「ポスト安倍」の有力候補としてにわかに注目され始めた加藤勝信氏を、厚労相から党総務会長に横滑りさせた。
そして、総務会のメンバーからは石破派を排除した。
この3つの人事を「入管難民法改正」の観点から解説してみたい。
「ポスト安倍」の有力候補としてひと仕事した
自民党の場合、法案手続きは、部会了承のあと、総務会で了承して終了する。入管難民法の改正案は、部会了承された29日の翌30日に総務会で審議された。
総務会でも、もめることはもめた。部会で繰り返された懸念も出た。だが、最終的には、施行後に制度の実施状況を検証する「見直し条項」を法案に盛り込むことを条件に了承した。30日には総務会了承されないのではないかとの見方もあっただけに、予想よりもあっさり終わった印象だ。
この日法案が総務会了承された理由は、2つある。1つは、安倍政権を批判しようという石破派議員が総務会にいなかったこと。そしてもう1つが、加藤氏のさばきが見事だったこと。
財務官僚出身の加藤氏は、政策に明るく物腰が柔らかい。その調整能力は、官房副長官の頃から定評があった。加藤氏が総務会長に抜てきされたのは、憲法改正にあたり、党の案を最終的に決める仕切り役として安倍氏が期待したというのが定説だ。確かにそれは事実なのだが、その前に加藤氏は早くもひと仕事したといえる。
加藤氏としては安倍氏の信頼を勝ち取って3年後に、後継指名を勝ち取りたい。そのために、今後も総務会長として最大限のパフォーマンスを見せようとするだろう。