自公支持層の2割から3割程度が玉城氏に投票

各社の出口調査を分析すると興味深い傾向が見えてくる。自公支持層の2割から3割程度、玉城氏に投票しているのだ。徹底した組織選挙を行った両党としては容認し難いデータだ。

知事選では、大量の自民党幹部や秘書軍団を連日投入する物量作戦で組織固めの選挙戦に徹した。その過程で、佐喜真氏を推す勢力が、事実ではない玉城氏のスキャンダルを流したとも報じられた。そういった、なりふり構わぬ姿勢に、本来であれば自公側を支持する県民も違和感を持ったのではないか。

知事選の結果は、党総裁選の地方票の出方と通じるところがある。安倍氏は徹底的な引き締め選挙を行い、圧勝を目指した。その結果、国会議員票は8割を超える票を得たが、地方票は55%にとどまり石破氏に迫られた。総裁選の結果、「自民党は(安倍支持)1色ではない」(石破氏)ことが証明された。

総裁選で石破氏に迫られたことと、沖縄県知事選での敗北は、「安倍1強への違和感」という共通項でつながる。

崩れ始めた安倍政権の金看板

3選後の安倍氏は、あまりいいことがない。9月26日、ニューヨークで行われたトランプ大統領との首脳会談では、2国間で「日米物品貿易協定(TAG)」の通商交渉を始めることで合意。2国間交渉を回避することを最重視していた日本政府としては、米国に押し込まれた印象は否めない。

10月1日、日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、景況感は、3期連続して悪化した。

トランプ大統領との蜜月関係を謳歌し、アベノミクスの推進による順調な経済に支えられていた安倍政権の金看板が期せずして同時に崩れ始めている。

そしてもう1つ安倍政権にとって不安材料がある。公明党の動向だ。

安倍氏は残る任期3年の間に、悲願である憲法改正を実現させたい。そのために今月召集の臨時国会で、自民党の案を提出し、併せて公明党との与党協議を始めたいと考えている。ところが、この方針に山口氏が難色を示している。