調査委「ハラスメント防止室の対応はきわめて不適切」
ハラスメント防止室の対応を巡っては、被害女性に対して「中退者は申し立てを受けられない可能性がある」などとメールで説明していたことが問題視されていた。これについて防止室側は報告書で以下のように弁明している。
「退学していると対応できないものもあるため(たとえば、ゼミの変更などの人間関係の調整を希望する場合)申立てに至らなかった前例があり、その際、そもそも受理できない可能性があるのであれば来所の前に言ってほしかったという意見があったと聞いている」
「退学(退職)してしまうとできなくなる調整内容もあることから、退学を思いとどまってほしいという趣旨も入っている」
だが、調査委員会は「メールの文面は、そのような配慮によるものとは到底読むことができず、退学した者からの申立ては受け付けないとの趣旨に受け取る方が自然であり、きわめて不適切なものである。退学してしまえばゼミの変更などの対応ができないのは当然であり、あえて記載する必要がある文言であるとはいえない」としている。
「教員同士が互いに注意できない現状があった」
調査委員会は報告書のまとめで以下のように述べている。
「今回の調査を通じて痛感されたことは、教職員がハラスメントについて相談を受ける際、なによりもまず、真摯に話を聞いてもらえるという信頼感を、相談者の側に与えることが重要ということである。それは、特定の相談窓口だけに関わることではなく、一般の教職員すべてにおいて問われる問題である」
「また、今回の事案で明らかになったことは、教員同士のチェック機構(原文ママ)が働いていないということである。ハラスメント(あるいは、それと取られかねない言動)が繰り返し行われていることを認識しながらも、それを互いに注意できない、あるいは注意を行っていても実効性を持たなかったという現状がある。学術院という比較的大きな組織全体のなかでは、誰が注意すべきなのか明確でないということから無責任体制になりがちであり、一方で、論系・コースといった少人数で密な人間関係のなかでは、師弟関係や先輩・後輩といった力関係も働いて、ものが言いにくいという状況が生じやすい。このような現状を変えるためにも、それぞれの会議体でハラスメント防止の問題を正式議題に上せ、具体的なチェック項目に沿って点検を義務化するなどの、一歩踏み込んだ対策を考える必要があるだろう」