実際に仕事を頼むときの注意点
副業を単なる「労務の提供」と考えていたり、「アルバイト仕事」だと誤解されたりしないように、仕事を発注する側は、次の点に注意すべきだ。
・守秘義務契約
・雇用されている企業からの承認
・求められる具体的な成果物や業務内容の取り交わしや取り決め
・完成と納品の期日
・業務連絡や打ち合わせなどの方法
・報酬金額
・支払い条件(着手金・中間金・残金支払いなどがあれば記載する)と支払期日
・契約違反の場合の対応(損害賠償責任の明示)
・誓約書
などを整備して、両者で合意しておこう。企業風土や企業文化、社内規定が異なる人材と付き合うわけだから、無用なトラブルを避けるようにしたい。
大企業ビジネスパーソンに期待したいこと
専門性が必要な副業を依頼している企業は、「日雇い仕事」や「アルバイト」といった作業員を求めているわけでなく、その分野のプロフェッショナルを求めている。依頼主からの信用を失わないようにするには、次のような心構えを大企業ビジネスパーソンには期待したい。
・自分にできない仕事は、絶対に安請け合いしない
・仕事内容と出力精度を、両者で事前に確認しておく
・直前に仕事をキャンセルするといった信義則に反する行為をしない
・仕事と業務の範囲を互いに遵守し、「言った、言わない」をさけるために、両者のやり取りは文書にして残す
副業が向く人、向かない人がいる
給与所得者には、雇用主から毎月決まった給与が支払われる。自分の仕事の精度は上司にチェックされるが、その仕事がどれだけ金銭的価値があるかを本人は把握できない。一方、プロフェッショナルやフリーランスで仕事をしている人たちは仕事に対して毎回高い精度を要求され、その対価として報酬を得る。また依頼主から継続して仕事を受けるには、仕事の精度はもとより、期日を守るといった信用や信頼づくり、互いに気持ちよく円滑に仕事を進める対人関係性やコミュニケーション能力が要求される。
いかに優秀で、専門性を発揮できても、「大企業にいるという上から目線での相対し方」や「その場限りの付き合い」では、依頼主から大事にされず、仕事は継続しない。給与でなく、「出力する仕事の精度によって対価を得る大変さと喜び」を実感できない人は、副業には向かない。中堅中小企業の側も、このあたりの向き不向きをしっかりチェックしなければいけないだろう。