指名率が命運を握る
この仕事を誰に依頼しようか。この問題を誰が解決してくれるだろうか。
こういった場面で、顧客が自分を思い出してくれるか――。それによってビジネスパーソンの命運は決まる。すぐに思い出してもらえる人は、何をするにも指名率が高くなり、チャンスが広がる。
人間の脳は「覚えること」よりも「忘れること」が得意で、覚えては忘れることを何度も繰り返すうちに、その情報が重要だと判断すれば、記憶に刻む。消去しても消去しても、その情報が何度もインプットされたら、記憶に残るという仕組みだ。意思決定者(裁量権を握っている人)の記憶に残れば、何かあるごとに思い出してもらえ、機会が与えられる可能性が高まる。
脳で記憶を司る場所を海馬(脳の中で、記憶や空間学習能力に関わる脳の器官)と呼ぶが、海馬での記憶の保存期間は1カ月ほどしかない。1カ月以内に再び学習するか復習しないとその記憶は忘れ去られる、といわれている。こうした人間の脳の特徴を踏まえたうえで、折りに触れて意思決定者に思い出してもらえる人になるには、どんなことをすればいいか、考えてみたい。