仲間だと思っていた人が、陰で自分の文句を言っている……。人間関係には、信じたくない暗部があるものです。陰口の中でもとくに質が悪いのが、ねたみや嫉妬。負のエネルギーは、順調だった人生や仕事の妨げるものです。陰口を叩く人を憎むのはカンタンですが、ねたみや嫉妬のキッカケを自分自身で作っているとしたら、どうでしょう――。
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普段なら、嫉妬なんてしない人にも……

ビジネスの世界に生きていると(いや、ビジネスの世界でなくてもそうかもしれない)、自分の「幸せ」が知らぬ間に敵をつくってしまうことがある。仲がよいと思っていた人間がねたんで、裏で自分の批判をしていることはめずらしいことではない。

ねたむ(嫉む・妬む)という言葉の意味を調べてみると、「他人の幸福をうらやみ憎むこと。他の男女間の仲のよいのを憎むこと。他人が自分よりすぐれている状態をうらやましく思って憎むこと」。また、嫉妬の意味は、「人の愛情が他に向けられるのを憎むこと。また、その気持ち。特に、男女間の感情についていう。すぐれた者に対して抱くねたみの気持ち」とある。人は、どんなときにねたまれ、嫉妬されるのか。考えてみると、次の4パターンが浮かび上がる。

1.日常の幸せをアピールしてしまっている

本人に悪気はないのだが、「名店と名高く、5つ星をもらった寿司屋に今夜も行ってきました」「芸者さんを呼んで、料亭で楽しい夜をすごしました」「今、休暇で家族とニースにいます」と、こんな調子で近況を頻繁にSNSにアップする人がいる。大枚をはたかないとできないことや、普通ならとても行けない場所に絶えず訪れていれば、見ている人は、いい気分はしなくなる。自分の暮らしを人と比べる術がない時代と違い、SNSを通じて他人の「リア充」を日々見せつけられると、自己嫌悪に陥る人が出てくる。これが高じると、相手へのねたみや嫉妬の感情が生まれる。

普段なら、ねたみや嫉妬などしない人も、仕事や家庭が上手くいっていないときや経営が芳しくないときには、そんな気持ちになることがある。SNSで自慢ばかりしていると、友達は知らぬ間にいなくなる。

2.経営者や上司から見込まれ、かわいがられている

能力が高く、仕事ができる人間は、経営者から見込まれ、大事にされ、出世しやすい。また忠誠心が強く、上司から可愛がられる人もそうだ。組織の場合、こうした人は同期や別の上司・役員からは疎ましく思われ、嫉妬やねたみにつながる。自分とたいして違いがないように見える相手の場合には、嫉妬やねたみがより生じやすい。

3.経済的に恵まれている

「同期の中でも異例の抜擢で昇進し、給与が上がった」「経営が非常にうまくいき、利益が出ているので羽振りがよい」「親が資産家で、その資産を相続した」「普通なら手が出ないクルマを持っている」「一等地に暮らしている」など、経済的に恵まれている人は、ねたまれやすい。能力が高く、しかも人一倍努力して手に入れたとしても、「きっと悪いことをして富を得たんだ」とか「成金趣味だ」などと、揶揄される場合すらある。

国税局や税務署が脱税した人を知るのは、第三者からの密告が多く、都内の税務署には週に数件の密告があるという。タレコミと呼ばれる密告は、ねたみや嫉妬が発端となり、相手を痛い目にあわせたくて行なわれる。その方法は、電話や投書という旧来型に加え、近年はサイト上に設けられたコメント欄や意見募集欄も使われるという。

4.異性にモテている

男女を問わず、異性からモテる人もねたみや嫉妬の対象になりやすい。ある作家が美しい女優と結ばれた後に死別し、新たに綺麗な女優と一緒になったという報道がなされたときのことだ。くだんの作家とは縁もゆかりもない男性が「美人ばかり妻にして、男として許せない」と息巻いている姿を見たことがある。それなら自分も美人と一緒になればいいじゃないかと思ったが、本人はそうは考えていないだろう。

5.世間から注目されている

仕事や会社が世間から評価を受け、あるいは業績が認められて注目されると、経営者や研究者は頻繁にメディアに登場するようになる。これもねたみや嫉妬につながるケースにある。同級生だと「学生時代の成績は、オレのほうがよかった」とか、「昔はさえない男だった」などと口にする人間が必ず出てくる。

では、無用なねたみや嫉妬を受けないようにするには、どうすればよいのか。対策としては、次の4つの方法がある。