住宅ローンの返済額を下げる5つの方法

そして堅実に見えた流動費にも、改善の余地は残されていた。足が遠のいていたスポーツジムは「通い放題プラン」を「週イチプラン」に変更。16年4月からの電力自由化を受けて、電力会社も選び直した。夫婦2人とも格安スマホに。通信費だけで月1万2000円も圧縮できた。

前述の住宅ローン控除、電力自由化を含め、17年4月から始まったガス自由化、企業年金がある会社員や主婦も加入できるようになった個人型確定拠出年金(iDeCo)、ふるさと納税といった国が力を入れている施策には「まず乗っかる」構えでいて損はない。18年からは、「積立NISA」も始まる。現行のNISAよりも、非課税枠の累計が上がる。早めにチェックしたい。

さて、これだけで毎月の収支はプラスに転換。ボーナスが手つかずで残り、毎年200万円ペースで貯金できるようになった。今後、さらなる上乗せを期待するならば収入面だ。専業主婦として育児に注力していた妻だが、子離れのときは近い。まだまだ幼いと思っていた下の子も小3だ。学校から帰宅後は友達と遊びにいったり習い事に通ったりで、「母親の出番がない」と寂しそうにしている。ならば仕事復帰を検討するべきだろう。夫とのダブルインカムなら貯金ペースはさらに倍増。ローンの繰り上げ返済(フラット35なら10万円から返済可能、1円から返済可能の銀行も)に、教育費に、老後資金にと使い道も広がる。理想は現役世代のうちに住宅ローンを完済すること。定年後の再雇用があるにせよ、60歳以降の収入は現役時代の6~7割まで減る。夫婦そろって思い切り働けるのはたった14年間だ。妻の仕事復帰を追い風に、老後の備えを急ぎたい。40過ぎたら老後は「秒読み」なのである。

▼節約術 住宅ローンの返済額を下げる5つの方法
「繰り上げ返済」をする
1円から返済できる銀行もある。ただし、月々の返済額を減らすより返済期間を短縮するほうが支払い総額は安くなるので注意しよう。

「借り換え」をする
より金利の低い住宅ローンに借り換えれば返済額は下がる。残り期間が15年以上ある場合は0.4%以上利率に差があれば借り換えを検討すべし。

「住み替え」をする
子どもが独立したら広い家に住む必要はない。住宅ローン返済中の家を売却か賃貸に出し、手ごろな家を借りるのも手。郊外なら費用はさらに安くなる。

「世帯収入」を上げる
妻とのダブルインカムであれば、繰り上げ返済も容易になる。2018年から配偶者控除の枠が103万円から150万円に拡大するので世帯収入を上げるチャンス。

「民泊」にする
自宅の空室を「民泊」として有料で訪日外国人ら観光客に貸し出し、その収入を住宅ローンの返済にあてる。2018年に施行予定の「民泊新法」に注目しよう。

飯村 久美
ファイナンシャルプランナー
損害保険ジャパンを経て現職。これまで800件以上の家計診断を経験。著書に『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』など。
 

豊田 眞弓
ファイナンシャルプランナー
マネー誌のライターを経て1994年から現職。育児や介護など実体験に根ざした相談業務を行う。『いまからはじめる相続対策』など著書多数。All About教育資金ガイド。
 
(文=東 雄介 写真=PIXTA)
関連記事
4000万物件に8000万払った50代の末路
7500万円タワマン買う共働き夫婦の末路
年収300万、40代で2億貯めた男の通帳履歴
「老後の備えは300万の定期預金で十分」のワケ
"年収と勤務先"で控除額の違いは天と地