妻の「子供の連れ去り」法律は夫を助けてくれない

世の中には、哲也さんと同じようなケースはたくさんあります。子供の養育費を払うことは親の務めですが、だからと言って、「後出しじゃんけん」でいちいち追加費用をせびられてはたまりません。

*写真はイメージです(写真=iStock.com/Yagi-Studio)

離婚をしても、相手の再婚や収入の増減、入学や留学、親の介護や相続などの「事情変更」によって、離婚時に決めた養育費を「増やせ!」と言われるケースに、私は何度も遭遇してきました。

表現は悪いですが、かわいい子供を「人質」に取られている以上、妻に言われるがまま、お金を取られてしまうというリスクは離婚後も変わらないのです。子供がいる場合、「元」夫婦は一蓮托生だと考えてください。

【離婚するなら知っておくべきこと その4:親権】

4つ目は親権です。先日、都内在住の山上拓海さん(仮名・28歳)は私の事務所を訪ねてくるなり、こんなふうに声をあららげました。

「こんなことが許されるのでしょうか? 勝手に息子を連れ出し、実家に帰って、そのまま離婚しようっていうんですよ」

拓海さんは専業主婦の妻と5歳の長男と暮らしていましたが、ある日、仕事を終えて帰宅すると、完全にもぬけの殻。妻子の姿はなく、必要な荷物は運び出され、ダイニングテーブルの上には鍵が置かれていたそうです。

▼家事・育児をしっかりやった夫は妻から親権を取り戻せるか

その上、翌日には裁判所から呼び出しの手紙が届きました。妻が離婚の調停を家庭裁判所へ申し立てていたのです。拓海さんはかなり動揺し、現実を直視できるようになるまでかなりの時間を要したそうですが、離婚調停の当日には気持ちを入れ替えて臨むことができました。

なぜ気持ちを入れ替えられたのでしょうか? 拓海さんは当時のことをこのように振り返ってくれました。

「嫁のやり方はともかくメチャクチャですが、こんな理不尽が裁判所で通用するわけがないでしょう。僕が言うべきことを言えば、きっと息子を取り戻せるし、親権も取れるし、嫁をギャフンと言わせることができるはずです」