小遣いは月5万円だが「それとは別にお金をせびられます」
ご両親は安心して、笑顔を浮かべるかと思いきや、どうも様子がおかしいのです。お二人とも表情が晴れません。
「実は、仕事もせず、社会との関係を断ってしまった息子の唯一の趣味がバイクでして、それにかなりのお金をかけているのです。本当はやめさせたいところなのですが、そうなると本当に部屋から出てこなくなってしまいそうで、やむなく認めています」(小林さん)
「小遣いとして月5万円を渡していますが、時々それとは別にお金をせびられています。小遣いをやらないと、暴力こそ振るいませんが、怒鳴りだすので、結局折れてしまいます」(奥さん)
家計分析では、息子さんの浪費で支出が多めになっている点も考慮しています。もちろん浪費癖は治したいものですが、その状況が続くとしても、約8000万円の資産があれば何とかなりそうです。そう説明すると、小林さんはこう答えます。
▼「資金が息子に渡っても計画的に管理できるとは思えません」
「それでも今はまだ私たちがお金の管理をしていますので、これぐらいで収まっているのです。私たちが死んで、まとまった資金が息子に渡ると、とても計画的に管理できるとは思えません。せめて、兄弟でもいれば息子の資産管理を頼めたのですが……」(小林さん)
ご両親は息子さんを信用していないようです。ただ、相続で息子さんに資産が渡れば、お金の使い方は本人の自由です。たとえ兄弟姉妹がいたとしても、息子さんの資産を預かってもらうことはできません。
成年後見という制度があります。判断能力が十分ではない人に代わって、家庭裁判所が選任した後見人が資産を管理してくれる仕組みです。息子さんは仕事をしておらず、ひきこもりとは言えるかもしれませんが、判断能力がないわけではありません。この制度の適用は難しそうです。
「子供に資産を残してあげたいけれども、それが心配の種なんです」(小林さん)