欠点は同時に長所でもある
子どもの頃から優等生だった人が案外社長に向いていないのは、自分が何でもできると過信しがちだからである。他人のほうが自分よりも優れた点がたくさんある、教えてもらうことや助けてもらうことがあると「感覚」でわかっている人でなければ、すぐれた社長になることはできない。
社長に限らず、マネジメントはすべてそうだろう。自分が一番賢いと過信している人はマネジメントには向かない。むしろ、他人が自分よりも優れている点を認め、助けてもらうこと。他人から積極的に学ぶこと。そのような謙虚さを持っている人こそが、卓越したマネジャーになる。
グーグルのCEOをされていた頃のエリック・シュミットさんにお話を伺ったときに、強調されていたのが、「他人の意見を聞くこと」だった。「さまざまな人の考えを聞いたうえで、最後は自分で決断する」とシュミットさんは言った。他人から学ぶという謙虚さと、自ら決断する力強さの双方を併せ持ったその姿勢に、感銘を受けた。
勉強が苦手なことが長所になり、勉強が得意なことが短所になることもある。そのような立体的な見方をしないと、人の個性はつかめない。
欠点は劣等感につながりやすい。しかし、欠点は同時に長所でもあると考えれば、自分や他人の可能性をもっと信じることができるようになるだろう。