中国企業に比べスピード感に欠ける日本企業
【K】私の会社は広州や上海の中国企業と取引があり、また日本企業とも取引があります。そのうえで言うならば、中国企業の強みはとにかくスピード感ですよ。一方で日本企業の場合、私たちがよさそうな商品を売り込んみ、たとえ関心を持ったとしてもすぐに買わない。プロジェクトをすぐに決めない。とにかく決断のスピードが非常に遅いんです。一方で中国企業の決断は極めて迅速です。
【T】中国人は発展途上国を相手にしたビジネスのやりかたを、理解しているのだと思います。カンボジアは貧しい国ですから、すぐに売買ができる相手こそがありがたい。
【茂木(日本人)】「まずは本社に相談して……」という日本企業の決断の遅さが嫌がられる例は多いですね。しかし、カンボジアのGDP成長率は年7%以上ですよ。こうした新興国で、日本のビジネスのゆっくりしたスピード感に合わせていたら、現地の人はそれだけで損をしちゃうんです。他のことをすればもっと儲かるはずだというんですね。
【K】通関も簡単ですから、たとえば私の会社が中国の企業にものを注文した場合、ケースひとつみたいな少量のものでもすぐに送ってきてくれる。これは中国製品の価格競争力にも反映されることになります。中国企業のスピード感は、良好なカンボジア・中国関係に支えられている部分も大きいでしょう。
【K】日本製品についてですが、カンボジアにおいてもその品質への信頼性は極めて高い。多くのカンボジア人は、日本の製品はたとえ購入から20年経っても使えると考えている。そのことを先に言っておきます。やはり中国の製品は壊れやすいと感じますからね。
ただし、日本製品の価格は中国製品の3~4倍に達します。ここまで値段に差があると、多くの人は実際は中国製品を選ばざるを得ません。
【K】ないことはないですが、日本企業の絶対数が少ないので、微妙なところです。一方で中国語ができる人は需要がある。中国企業だけではなく日本など他国の企業でも、現場の管理職は中国人だったりしますからね。