ステップ2:腰痛の原因を特定するには?

▼セルフチェックで判明! 前屈で痛めば椎間板

「椎間板」は背中の骨と骨の間にある軟らかい円盤状の軟骨で、背骨に加わる衝撃を吸収するクッションのような役割を果たす。椎間板に負担がかかって、神経に触れると痛みが発生する。これが椎間板からくる痛みの仕組みだ。

「この段階では画像診断で異常が認識されない“見えない腰痛”ですが、これが悪化することで『椎間板ヘルニア』という“見える腰痛”になります」(早稲田大学スポーツ科学学術院教授 金岡恒治氏)

「椎間関節」は背中側にあり、背骨同士をつなぎ、左右合わせて48カ所もある。関節は「関節包」という膜に包まれているが、その中には多数の神経があり、関節が傷つき、神経が刺激されると即座に痛みが起こる。

「仙腸関節」は骨盤の中で最も大きい骨である腸骨と、背骨である腰椎の下にある仙骨をつなぐ、縦に長い関節だ。かつては腰痛の原因とは考えられてこなかったが、ここで起こった炎症を注射でおさえると腰痛が軽減されることから、腰痛の原因箇所の一つと見られるようになった。仙腸関節に負荷がかかり、関節をずらす力が加わると仙腸関節のズレが生じ、痛みが発生する。

「骨は酷使しても壊れない人、すぐに悲鳴をあげる人など、個人差があります。今までどれだけ負担をかけてきたか、その蓄積したダメージも痛みの発症に関係すると考えられます」(上野毛脳神経外科クリニック院長 脳神経外科医 小林信介氏)

では腰痛の原因をどう特定するか。まずは腰のどこが痛いのかを自分で指差してみてほしい。

仙腸関節は、ズボンのベルトの位置くらいの高さで、背中側の体の中心から指2本ぶんくらい離れた左右の位置にある。触ると少し盛り上がっているが、そこが痛みの震源地でなければ、仙腸関節の腰痛ではないと考えていい。

次に、前屈と後屈をしてみてほしい。椎間板は腹側、椎間関節は背中側にあるため、前屈をすると椎間板を圧迫し、後屈をすると椎間関節に負荷がかかる。

前屈で痛い場合は椎間板が痛みの震源地である可能性が高い。後屈で痛む場合は、さらに左右の斜め後ろに反らして、痛みが出るようであれば椎間関節由来の可能性がある。

「このいずれにもはっきりと当てはまらず、少し正中から外れたところに痛みを感じる、という人は筋肉が痛んでいる可能性が高いです。このセルフチェックで、100%とは言えないものの、どの震源地由来なのか、おおよそ判断できると思います」(金岡氏)