ウソを免れる5つの方法
[1] 時間のプレッシャーに屈しない
人が交渉でウソをつく理由で最も一般的なものを1つ挙げるとすれば、おそらく準備不足だろう。ネゴシエーターは不意をつかれたときにウソをつきがちで、予期していなかった厄介な質問に出合うとウソに頼ることになる。
準備万端のネゴシエーター(どんな情報を教えて、どんな情報を隠せばよいかや、厄介な質問をどう切り抜ければよいかを事前に考え抜いているネゴシエーター)が、ウソに頼る必要がないのは当然のことだ。交渉が数度にわたるとか、オンラインで行われるといった場合には、時間のプレッシャーはさほど重要な問題ではない。したがって、複雑な交渉に備えて入念に準備するのが賢明だ。たとえば、複数の相手との交渉であれば、実質的な交渉に入る前に、仮の議題を決めるための電子メモを回すことを考えてみていただきたい。このような方法をとることで、他の交渉当事者に厄介な質問に対する準備をしてもらい、交渉の席で不意打ちをくらう回数を減らし、ウソをつく必要性を減じることができる。
[2] ある種の質問には回答を拒否する
厄介な質問に出くわしたとき、「私にはその質問に答える権限はない」とか、「その質問に答えるのに必要な情報がそろっていない」と押し通すのは、理不尽なことではない。答えを持っていて、なおかつ答える権限がある場合でさえ、自分の知っていることをすべて教えるべきだ、などと思ってはいけない。投げかけられた質問のすべてに答えたいという衝動を抑えることで、無用なウソを減らせるのである。
多くのネゴシエーターが、自分が相手の立場ならけっして答えないような質問をするということを忘れないでいただきたい。
ウソに代わる方法として、求められた情報の一部だけを与えたり、さほど極秘でない情報の提供を申し出たりしてもよい。この対応はウソより倫理的に優れていて、戦略的にもリスクが少ないことに留意しよう。