「マジで危険」な石破氏、村上氏は避けた

野田氏は就任後の記者会見で「5年前、(第2次)安倍政権が誕生した時の謙虚な気持ちを取り戻すために、5年前にご一緒させていただいた私と行動を共にするご決心がついたんだと思います。そばで、今までどおり伴走してほしいというようなことを(安倍氏から)言っていただきました」と語った。総務会長時代の関係を再現する決意表明でもある。

河野氏も就任あいさつでは「昨日まで党行革本部長として外務省の予算に文句を言ってきたが、今日からは文句を受け止めてしっかりやる」と立場が変わったことを強調。記者会見ではこれまで否定的な考えを示してきた核燃料サイクルについて「所掌外でございますので、お答えをする立場にございません」と官僚答弁に徹した。

自民党内には「安倍氏と距離を置く」といわれる議員は2人以外にもいる。例えば石破茂元幹事長、村上誠一郎衆院議員だ。しかし石破、村上の両氏は、安倍路線への反対姿勢を鮮明にしているので、仮に入閣しても、批判の声は上げ続けるだろう。その度にマスコミは「閣内不一致」と大きく報じる。政権のイメージはダウンし、内閣の支持はさらに下がるのは間違いない。

同じ「距離を置く」議員でも、石破氏や村上氏は「マジで危険」な存在。かたや野田氏、河野氏は「危険そうに見えて実は安全」。そこを見抜いて、安倍氏は野田氏、河野氏を選び、石破氏、村上氏らを退けた。

野田氏は6日出演したNHKテレビの番組で「私は(安倍氏にとって)うっとうしい存在」と表現。来年の党総裁選に向けてファイティングポーズも見せた。

野田氏、河野氏は、時には安倍氏に異論をはさむようなシーンも出てくることだろう。しかし、それは安倍氏が許容する範囲にとどまるのではないか。それが安倍氏と連携したうえでの「出来レース」と映れば、国民の期待は失望に変わる。安倍氏にとっても、野田氏、河野氏にとってもリスクのある人事だったことも忘れてはいけない。

(写真=ロイター/アフロ)
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