「今日は東京都議選の投開票日だ」と書き出し、「この選挙には宿命がある。一自治体の議会選挙にもかかわらず、首都決戦だからと過度の注目にさらされる。無党派が風を起こす都市型選挙の典型でもある」「その結果、幸か不幸か、中央政界の変動を先取りして指し示す象徴選挙として運命づけられる。しかも風向きひとつで勝者と敗者は残酷なまでに入れ替わる」と続く。

都議選の背負う「宿命」

「宿命」……。なるほどその通りだと思う。

記事はこれまでの都議選を振り返りながらそれぞれの都議選が中央政権に与えた影響に言及する。リクルート事件、消費税導入、宇野宗佑首相の女性スキャンダルと単語を挙げ、「平成元年の89年、参院選より一足早く都選で山が動いた。大逆風の結果、『自民惨敗 20議席減 社党は大躍進、3倍増』」と書く。

さらに「次の93年は主役が交代する。『日本新党が大躍進 社党惨敗、第4党に』。政治改革の爆発的な風に乗り、細川護熙代表率いる日本新党が政局のど真ん中に躍り出た」「続く衆院選を経て野党は日本新党を引き込んで細川非自民政権の樹立へ進み、自民党の長期一党支配に終止符を打つ。都議選はその号砲だった」

「2009年は、衆院選で政権交代をめざす民主にとって仕上げの前哨戦だった。『民主圧勝 第1党 自公、過半数割れ』」「13年は政権に返り咲いた安倍晋三首相が参院選で『1強』を完成させる直前だった。『自公完勝、過半数 民主第4党 共産下回る』」

ざっとこんな感じである。

大勝利したからこそ、首相を目指す

なるほど都議選は昔から国政を左右していたのである。そうすると、今回の小池都知事の大勝利はどう国政に影響を与えるのか。

筆者はかつて小池氏にインタビューを行い、ちょっとした連載記事をある新聞に書いたことがある。

インタビューを通じて、小池氏は常に「国のリーダーはどうあるべきか」を考えて行動している政治家である、と感じた。

さて小池氏は新党を立ち上げ、国政に転じるかどうか。選挙後、小池氏本人は都政に全力を尽くすというようなことを言っているが、本心は国政、そして「初の女性首相」にあると思う。

小池氏は、細川、小泉ら元首相の信頼を得て、政権での地位を固め、不動のものにしてきた。そのことは何を意味するのか。「頂点を目指している」と考えても過言ではないだろう。

(写真=つのだよしお/アフロ)
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