2人は意外なところでも「共通点」がある。マクロン氏の妻・ブリジットさんは、マクロン氏より25歳年上のバツイチ。マクロン氏が高校時代の教師だったということで注目を集めた。プライバシーにおおらかなフランスだからこそ誕生した異色の「プルミエール・ダム」(フランス語でファーストレディーの意)ということなのだろうが、ブリジットさんは公私両面からマクロン氏に助言をする、文字通り「政権の屋台骨」となるだろう。

そのブリジットさんは64歳。偶然にも小池氏と同じ年だ。25歳の差は、マクロン氏にとって障壁とならないことは、既に証明済みだから、マクロン氏、小池氏の2人は、案外波長が合うかもしれない。

似た境遇で、選挙には勝った

小池氏もマクロン氏に親近感を抱いているようだ。5月8日、都内で行った演説では「私は都知事選で政党のバックアップがなかった。マクロン氏も独立候補」と、似た境遇から選挙に勝ったことを指摘した上でこう語ったという。

「(自分は『都民ファースト』だが)マクロン氏は『国民ファースト』でいけばいい。先輩づらしてアドバイスしたい」

「先輩づら」というよりも「年上女房づら」といったほうがいいのかもしれない。

2人はこの夏、決戦を迎える。小池氏は7月2日の東京都議選。ここで自身が事実上率いる「都民ファーストの会」と、選挙協力で合意している公明党とあわせて127議席の過半数64以上の獲得を目指す。「64」は小池氏の年齢と同じ数字だ。小池氏は今、都議選の勝利を祈念して今年1月から「一滴も」酒を飲んでいない。7月2日の開票日に自身の年齢を上回る議席をクリアして勝利の美酒に酔おう、というのが小池氏の夢なのだ。たった1人で都庁に乗り込んだ小池氏が1年で都議会で多数派を形成できるかどうか。

一方のマクロン氏は、都議選よりも一足早く6月に国民議会選挙を迎える。マクロン氏は自身の選挙を支えた市民運動「前進」を基盤にした「共和国前進」で過半数を目指す。「国民が熱望する変革を行うため、議会選挙では過半数を占めないといけない」と鼻息が荒いマクロン氏。5月11日、577の選挙区に428人の候補擁立を発表したが、内訳は男女が214人ずつでぴったり同数。約半数が政治経験のない候補だった。この顔触れは、既成組織に頼らず清新さをアピールするマクロン氏らしい。「共和国前進」は、どこまで「前進」するか。