遊行を実践すると、人生が大きく変わる
いったん遊行の精神を得たら、その流れは止まるところを知りません。もっとこんなことができるのではないか、あんなことができるのではないかと、夢がどんどん広がるようになりました。
今、考えている計画は、新しい白血病の治療法を、私が医療活動をしているイラクでも採用できないかということ。信州大学の医師が白血病の画期的な治療法を開発し、日本でも臨床に採用される予定です。この新治療は回復率が80~90%と高いこともさながら、高額な治療費を抑えることも可能となります。今、外務省に打診をしているところですが、こうした考えも、以前の私だと思いつかなかったでしょう。
実際に遊行を実践してみると、人生が大きく変わってきます。殻を破るとでもいうのでしょうか。言葉の力というのは本当にすごいですね。まさに、良い言葉は良い人生を作るのだと思います。
皆さんにも是非「自分の言葉」というものを持ってほしい。最初はその言葉がしっくりこなかったり、真の意味を理解していないかもしれません。でも、その言葉を繰り返しているうちに、だんだんと自分の中で発酵し、発熱し、やがて、自分の人生が言葉に沿っていくようになります。
私は、遊行の精神は、人生のすべての時期、世代で意識すべきことだと思います。遊行とはすなわち、どんな自分でも受け入れて認めてあげて、その先に広がる世界です。だから、どの世代でも遊行の精神を持っていればいいし、それによって、日本も今の閉塞感のある社会から、もっと明るい社会に変われるのではないかと思うのです。
諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)理事長、日本・イラク・メディカル ネット(JIM-NET )代表、東京医科歯科大学臨床教授、東海大学医学部客員教授。
1948年東京生まれ。74年、東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。地域医療に携わる。88年同院院長に就任。2001年同院現職に。1991年以来ベラルーシ共和国の放射能汚染地帯へ100回を超 える医師団を派遣し、約14億円の医薬品を支援してきた(JCF)。2004年イラク支援を開始。イラクの4つの小児病院へ10年間で4億円の薬 を送り、「イスラム国」攻撃しているイラク北部の都市アルビルを拠点に、難民キャンプで の診察を続けている(JIM-NET)。近著に『遊行を生きる ~悩み、迷う自分を劇的に変える124の言葉』(清流出版)がある。