世の中に通用する経営者になろうと決めた

誠一はその後、腕を評価してくれた知人の会社に招かれ、一人親方として仕事を続けた。そんな父を見るうちに、弘吉は父が開発したすばらしい技術と製品を埋もれさせたくない。世の中に広めるのは息子である自分しかないという思いが募り、2005年、会社を退職して、父と共同出資で会社を設立した。それが現在のエムダイヤだ。

「本当は私も、ものづくりをしたかったが、職人ではなく、商人に徹し、世の中に通用する経営者になろうと決めました」と弘吉は決意を固めた。その後、弘吉は全国を回って顧客開拓に奔走、先輩経営者に学びながら経営理念も作り上げた。創業以来、毎年、年間1000~1500人もの人々と名刺交換をし続けているという。

エコセパレにも改良を加え、処理できる廃棄物の種類も増えてきた。また、最近ではエコセパレだけでなく、性能と耐久性とランニングコストに優れた電動式のエコカッターや、基板剥離機、ローラー式粉砕機などの製品群の開発にも力を入れている。誠一は今でも新製品や新技術の開発に専念している。

「父とは今も意見は合いませんが、父の人間的な魅力にはかないません。人とのつながりを大事にして、引き受けた仕事には全力で打ち込む父に惚れ込んでいるお客さんも少なくない。その点は見習わなくてはと思っています」と、弘吉は笑う。

父との葛藤を通し、経営者としての覚悟を身につけることで、弘吉の人間的な魅力もきっと増しているはずだ。

(文中敬称略)

株式会社エムダイヤ
●代表者:森弘吉
●設立:1979年
●業種:分離・破砕機を中心としたリサイクルプラントの設計・販売、各種機械装置の保守・点検・修理、廃プラスチック材を中心としたリサイクル材の加工および輸出販売など
●従業員:8名
●年商:非公開
●本社:富山県滑川市
●ホームページ:http://www.m-dia.com/
(エムダイヤ=写真提供)
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