この発見は、第2弾の「ユニクロック」にも活きた。これは現在時刻と女性のダンスシーンが5秒おきにテンポよく切り替わる「時計」で、ブログを主なターゲットにしたものだ。

時計としたのには理由がある。ユニクロのことがブログの「記事」で取り上げられても、それは一過性のもので終わってしまう。日々の更新によって、その記事はどんどん下がって、埋もれてしまうからだ。そこで、「タイトル」や「目次」など常に表示されている「サイドバー」のスペースに適した形式をとれないかと考えた。その結果、「ブログ用の時計」という答えにたどり着いた。

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これがブログの「記事」に埋もれないための仕かけだ!

ウェブサイトはテレビCMと違い、流すだけで見てもらえるものではない。だから消費者にとって「面白い」とか「使える」といった目的になりうるかどうかが非常に大切だ。消費者の目的にあうサイトを作れば、その評判はネット上であっという間に広まり、紹介され、使ってもらえる。24時間365日、全世界の人々から自社の広告が発信され続けることになる。これがテレビCMとは異なるウェブの面白いところだろう。

だから予算が乏しいということは、ページビューを集められない言い訳にはならない。現に「ユニクロック」の広告予算も決して潤沢ではなかった。しかし、だからこそアイデアを素直に具現化することができた。むしろ限られた予算だったからこそ、思い切ったものが作れたのかもしれない。

どんなに予算を投じても、どんなに優秀なクリエイターを集めても、できあがる広告がクライアントのレベルを超えることはない。ウェブサイトも同じだ。ユニクロは「僕の提案を待つ」のではなく、「アイデアを出し合う」というスタンスで意思決定の仕組みができあがっていた。

「ユニクロック」は企画からスタートまでわずか4カ月だった。このスピード感はほかの企業にはない。クライアントとクリエイターが対立するのではなく、「成功」というゴールに向かって共に手を携えて向かえるかどうかが、成否を分けるだろう。

(石田純子=構成 坂本政十賜=撮影)