「与党再編」と「野党再編」という考え

【塩田】みんなの党の代表の後、8億円借入金問題が噴出し、失脚につながりました。

【渡辺】私がやってきたことは間違っていたとはまったく思っていません。失脚の契機となった借入金問題も、徹底した捜査を受けましたが、結果は不起訴になり、法律上、何の問題もなかったことが明らかになりました。

要は新党づくりにいかに金がかかるかということです。資金調達はすべて私の役目だった。江田憲司さん(現民進党代表代行)も浅尾慶一郎さん(元みんなの党代表)もまったくやらないから、私の責任で資金調達を担った。これは非常にありがたいお金でしたね。このお金があったから、なんとか党運営を回していくことができたと思っています。

【塩田】現在、返済は完了したのですか。

【渡辺】返済は2年前の代表辞任のとき、終わっています。

【塩田】貸し主が『週刊新潮』で経緯を暴露しました。

【渡辺】江田さんが言っていることに渡辺さんが従わないから、こういうことになったと貸し主の方は言っていましたね。貸し主さんは大阪維新の会とみんなの党が選挙協力を解消したことから、13年の参院選の前だったと思いますが、もう私とはいっさい会いませんと言ってきたんです。そのときは「金は返せ」とは言わなかった。銀行が貸してくれない類の金ですから、キープしていたんですよ。

江田さんはその参院選の後、もうみんなの党では戦えないと言って反乱を起こした。次の選挙のために維新と一緒になるんだと言う。貸し主さんはその路線を支持したんだと思います。週刊誌で語っているのは、義憤、要するに江田さんの結いの党が参議院で質問の時間がないとか、そういう類の話なんです。私の立場から申し上げれば、それは国会対策のレベルの話で、丁重に説明しましたけど、それがけしからんと言う。

江田さんが相当の危機感を持っていたのは事実だと思います。13年の参院選で、われわれは18人を確保しました。自民党は当時、過半数に8議席くらい足りなかったから、陰のキャスティングボート勢力になった。当時、私はそういう言葉は使わなかったけど、「与党再編」を最終的に狙っていました。みんなの党のアジェンダを実現するために、まず党首同士の信頼関係に基づいて戦略対話を展開し、法案ごとの交差連合の形成を行う。与党国対、閣外協力、閣内協力と、いろいろな段階があるわけですから、進めようと思った。

一方、江田さんは野党再編をやりたい。そのために維新の橋下さんとくっつく。橋下さんは大阪都構想をやりたい。維新は、国会のトップは共同代表の石原慎太郎さんで、こちらは自民党よりももっと右で、憲法改正をやりたい。そうすると、野党再編よりも与党再編のほうがいいのではということになってくる。渡辺がそこに加わると、野党再編ができなくなってしまうという危機感が、江田さんは当然、働いたと思うんです。それで、貸し主さんのところに江田さんが行ったんだと思います。