「男はチョコの味から値段を推測する能力が低い」
▼百貨店で買う派 ……サトミさん31歳・フリーデザイナー・既婚
毎年必ずバレンタイン直前に百貨店のチョコ売り場に行くサトミさんは、自分が楽しむことが主な目的だと言い切る。
「建前的には感謝を伝える日ですが、実際は夫にあげたチョコの半分は私が食べるわけで、普段は買えない豪華なチョコを食べられるまたとない機会。毎年百貨店で、『今年はどんなすごいチョコがあるんだろう?』とパティシェの力作を鑑賞しつつ、試食して回るのもささやかな楽しみです」
もちろん、ホワイトデーのお返しも一連の楽しみに入っているという。
一方で、こんなネガティブな意見も聞かれた。
▼同僚に義理チョコをまとめ買いしてもらう派 ……ミエさん35歳・ITベンチャー・既婚
「バレンタインデーとは、浮かれた女性たちがチョコを買いに行く日。私にとっては、厄介な仕事が1つ増える感覚でしかありません」
そう答えるミエさん。気が重いのは、職場の同僚や上司にあげる義理チョコだ。
「転職したてなので、まずは上司にチョコがほしいのか迷惑なのかを探り、同僚には毎年あげているのかどうかを探らないといけません。上司にも欲しい人と欲しくない人がいるわけじゃないですか。そして同僚が買わないのに自分1人で買ってあげると協調を乱してしまう。でも、逆に1人だけあげないのも気まずいですから」
まずこの2つの確認作業をして、チーム全体で買うことがわかれば、“買い出し当番“を免れるため必死の方便を取るのだという。
予算はどうなっているのか。
驚くことに、本命彼氏へのチョコより、仕事関連の義理チョコ(1人あたり)のほうが予算は高い(グラフ参照)。また、同じ義理チョコでも、男友達へあげるチョコより、上司などに向けたし仕事関連チョコのほうが1000円も高いのもいささか気になる。
とにかく彼氏より上司に金をかける。これは、どういう心理なのか。29歳のカオルさん(商社・既婚)はこう教えてくれた。
「独身時代は本命に2000円~3000円かけていました。結婚後も、夫に3000円以上の豪華チョコをあげていました。でも、お返しが1500円程度の品物だったことがありました。チョコの味やデザイン、包装から値段を推測する能力が低いのだろうと考え、高そうに見える安いチョコを探すようにしています」
豚に真珠ならば相応の品を、と思ってもあからさまに安物をあげるといくら舌の肥えてない夫でも気分を害するからだ。
カオルさんによれば、会社の上司も「お返しが貧相」である傾向が強いが、そこは文句を言わず、社内評価をあげるための投資と割り切っているそうだ。