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ダイナミックな「10X」の仕組み

この際に自分たちのチーム以外の部署、たとえばマーケティングやエンジニアの担当者などにも協力を要請することが日常茶飯だ。さらに、日本にとどまらず世界中の仲間を巻き込んでいくこともよくあるそうだ。

「目標を達成するために違う部署に要望を出していくが、立てた仮説や計画が野心的で大きなインパクトがあればあるほど、世界中のグーグルで働く仲間が自分の仕事の優先順位を変えてでも参画してくれます。プロジェクトが進むなかで、革新的でありながら世界中で受け入れられるスケーラブルなものが生まれてきます。それが10Xのダイナミズムです」(川合さん)

画期的なシステムでモバイル広告急成長

13年に25%だった日本のスマートフォンの保有率は、14年には46%と大きく伸び、グーグルもスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末向けの広告サービスに力を入れている。しかし以前だと、スマホで商品をチェックしても、そこでは購入に至らず、最終的に自宅のパソコンで決済ボタンをクリックする人が多く、そのため企業の反応はいま一つだった。

「でも、電車内でのスマホの利用は多く、たとえば朝8~9時の通勤時間帯に検索がピークを迎える分野もあります。そこで世界中のマーケティング部署やエンジニアと一緒に意見交換をして生まれたのが『クロスデバイス(推定合計)コンバージョン』という複数のデバイスにまたがるデジタル広告の効果を測る方法です。スマホやパソコンなど複数のデバイスでの広告効果を測ることができ、いまでは数多くの企業で活用されています」(同)

通常、店を出すときは人通りの多いところ(モバイル)を狙う。さらに目立つように看板(広告)も立てる。それなのに、最終的にお金を払ってくれるところ(パソコン)だけを見ていると、大勢いる潜在的なお客を取りこぼしてしまう。クロスデバイスコンバージョンのデータによって、見えていなかったお客がどれだけいるかが一目でわかり、モバイル端末向けの広告サービスの有用性も理解されるようになった。