「労働基準法32条は、週の労働時間の上限を40時間、1日の労働時間の上限を8時間と定める。これら2基準のいずれを超えても、時間外労働として原則25%の割増賃金が発生する」(同)
週5日の出勤が基本であるべきところ、休日である土曜も出勤し、振休を次週以降に持ち越してしまえば、その週は6日出勤となる。そのため土曜の休日出勤は労基法の基準をオーバーし、時間外労働となってしまうのだ。
「にもかかわらず、現状においては割り増しすべき賃金を従業員に支払い忘れている会社が多い。そのような会社の従業員は、未払いの割増賃金を、過去2年間に遡って会社に対して請求することができる。会社は残業代の未払いに注意する必要がある」(同)
一方、代休扱いとする場合はどうだろうか。法定休日である日曜に出勤し、その後、平日に代休を取るという場面では、どの時期に代休を取ろうと、日曜出勤について、会社が法定の35%の割増賃金を支払うべきだという結論に変わりはない。
なぜなら、代休の場合は、会社が定める休日と勤務日を変更するわけではないため、本来休むべき休日に出勤したことは事実として動かないからだ。この点が、振休と代休の最も大きな違いだ。
休む名目が「振休」だったのか、それとも「代休」だったのかに着目すれば、もらえたはずなのに見過ごした割増賃金の損失に気づくかもしれない。
北村氏は、振休日の位置によって有利不利が生じる労基法の規定は本来おかしいとも語る。
「『週40時間』『1日8時間』と、縛りを2つ設けたのが元凶。日本の労働基準法は、諸外国と比較しても、少し窮屈なのではないか」(同)。