日本の成功体験は世界で展開できる

私たちは、健全な財務基盤やブランド力で他社を上回りたいと思っています。その強みに基づいた競争優位性を堅持するために、ベストプラクティス(最良の実践法)を重要視しています。社員には、グローバルに事業を展開しているというマインドセット(意識)を忘れないでもらいたい。今やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS/会員制交流サイト)全盛の時代であり、お客さまもグローバルな感覚や考え方を持ってきており、そういう観点からもこのマインドセットは大切なのです。

そのような時代だからこそ、世界50カ国で事業を展開するメットライフのグループ間における人材交流をさらに進めたい、と考えます。社員にできるだけグローバルな経験を積んでもらうためのプログラムも始めています。同時に、日本に受け入れる海外の人材を増やしています。

私たちは、自分で考えて行動できる、自分で問題を解決できる人材を必要としています。異なる文化や言語に向き合い、それらを理解しようとする努力を怠らない人を求めています。メットライフが米国や欧州、アジアの有名ビジネススクールからMBA(経営学修士)ホルダーを積極的に採用している理由は、ここにあります。

グローバルなマインドセットを社員が持つことが非常に重要であることは、メットライフに限った話ではありません。日本企業は成長機会を海外に求めることが増加していますので、文化の違いを受け入れ、国境を越えた人間関係を築くことができる若い人材を安定的に確保し続けることは、海外戦略を実現するためには不可欠でしょう。

保険業界でいえば、日本は米国に次ぐ巨大市場で重要な市場であると同時に、日本での保険販売の戦略、成功体験は世界で通用する事例となります。今後、日本での成功事例を世界で展開する機会が増えていきます。それゆえに多くの優秀な日本人が必要になってきています。

しかしながら、海外の大学院でMBA取得を目指す日本人は減っていて、メットライフでも新入社員、若手社員に対し、グローバル育成プログラムを展開していますが、グローバルな舞台で活躍したいと思う意志や志を持つ逸材は、残念ながら、非常に限られている、と感じます。

私たちは、優秀な日本人社員を数多く雇用しています。成熟しているがゆえに競争がとても激しい日本市場で活躍する彼らは、私たちの誇りであり、さらにグローバルなマインドセットをもつことでグループが世界規模に発展するうえでの欠かせない戦力となってくれると思っています。

メットライフ生命保険株式会社 代表執行役 会長 社長 最高経営責任者
サシン・N・シャー

1967年生まれ、米国出身。米国スティーブンス・インスティテュート・オブ・テクノロジー卒。99年メットライフ入社。2011年アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーリージョナル専務執行役員、12年メットライフアリコ代表執行役専務最高執行責任者などを経て、現職。
(構成=金澤匠)
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