同じく取締役の中村義之さんは「DeNAでの仕事で身につけた思考プロセスが、ベンチャー企業を経営するうえでの財産になっている」と語る。08年にDeNAに新卒で入社した彼は、マナー研修とOJT研修を2週間ずつ受けた後、ECサイト「ビッターズ」の営業部に配属された。
「まず驚いたのは社員一人ひとりの裁量権の大きさと数字に対する厳しさでした」と彼は言う。
「配属先で電話の前に座ると、後はお客さんのリストを渡されて『これが君の分ね』と放っておかれるのがDeNAのやり方。また、営業の電話を1時間にどれくらいかけているか、それがどれくらい成果に繋がっているかがすべて可視化されていました。『人は仕事で育つ』という考え方が徹底されていて、目標を達成するために何をどれくらいすべきかを常に考える癖を叩き込まれるんです」
もともと将来は起業をしたいと考えていた彼にとって、その体験は非常に貴重なものとなったという。
「DeNAは『永久ベンチャー』を謳っている通り、起業を志す人間を多く採っている。裁量権の大きさと数字への厳しさは、そうした人材にとって大きな財産になります。実績と自信を蓄え、卒業していくというキャリアの流れが自然なものとしてあるんです」