怒らない秘訣は、反射しないこと
嶋津氏によれば、怒りをコントロールするうえで大切なことは、「イライラや怒りの感情に反射して、すぐ怒りださないこと」だという。
「脳の機能には、思考系と感情系があります。思考系とは、断片的な情報をつなぎ合わせ、連想し、合理的な判断をしようとする機能で、感情系とは、食欲や睡眠欲などの生理的な欲求全般に関する機能です。イライラや怒りは、感情系が優位になっているときに生まれやすい。ですから、イライラや怒りを鎮めるには、その兆しを感じたときに、何らかの方法によって思考系を優位にするのが効果的です。一度、怒りだすと、怒りはどんどんエスカレートして、思考系を優位にすることが難しくなってしまうからです」
この「思考系を優位にする」技術が、怒らないスキルなのだという。そこでまずは、“怒らないスキル10”のうち、イライラや怒りを感じたとき、とっさに実行することで思考系を優位にできる方法を5つ、嶋津氏に紹介してもらおう。
1.ストップシンキング
怒りに反射しないためには、“間”をとって一度気持ちを落ち着かせ、思考系を働かせるチャンスをつくることです。その最も簡単な方法が、イライラを感じたときに頭の中で「1、2、3」と3つ数える「ストップシンキング(思考停止)」です。
2.タイムアウト
カッとなって、脳の感情系が暴走しそうになったときは、その場から離れることで、強制的に“間”をつくる。これが、タイムアウトです。
子供が悪さをして怒鳴りそうになったら、「ちょっとトイレに行ってくる」「お茶を入れてくる」と断って、10秒間だけでもその場を離れます。目の前に怒りの対象がない場所に行くと、冷静さを取り戻すことができます。そして子供にどのように話せば、悪いことをしたと理解してもらえるかを考えられるはずです。