全力で仕事をし、課題を発見すること

自ら率先して仕事に打ち込めば、もっとうまくやる方法はないかと、創意工夫をするものです。一方、与えられたことや決められたことをただ漠然としているだけでは成長できるはずはありません。勉強も仕事も少しだけ努力して、何か壁にぶつかるとすぐにあきらめてしまう人がいますが、それでは何も得られません。必死の努力を続けること。見ている人が可哀そうだと思うほど努力を重ねること。その結果、初めて成功することができるのです。

仕事においては、上司が焚きつけても燃えない不燃性の人、焚きつけると燃える可燃性の人、そして誰から焚きつけられなくとも自ら燃える自燃性な人と、3つのタイプがあります。

火を近づけても、エネルギーを与えても燃えない者、つまり多少能力はあったとしても、ニヒルで感動することができない人は、ものごとを成し遂げられないのです。本来は自ら燃えてくれる「自燃性」の人が望ましいのですが、せめて燃えている者が周囲にいるときは、一緒に燃え上がってくれる「可燃性」の人であってほしいと思います。こうした「可燃性」の人が集まっていれば、上に立つ人間が、仕事の意義や目的、使命感といったものを諄々(じゅんじゅん)と説き「一緒に肩組んで、同じ道を歩もうではないか」と語ることで、「自分の思いを何も持たず、流れに任せて無気力に過ごすなんて人生を無駄にしてしまうだけだ。僕たちも頑張ろう」という意欲が湧いてくるはずです。

私は仕事というものは、どんなものでも自分自身の心を立派にしていくためのものだと考えています。だからこそリーダーは部下が仕事に対する誇り、働きがい、生きがいといったものを持てるようにしてほしいと思うのです。

時代を動かすのも、経済を動かしていくのも、その原動力は人間の心です。「何とかしなければならない」という強い意志を持って、何事をも恐れず必死に努力を続ける。そうすれば、自分の足りないところが自ずと見つかるはずです。

それを懸命に学んで身につけ、また新たな目標に向かって努力をする。その繰り返しが必ず人間を大きく成長させるのです。

(吉田茂人=構成 小倉和徳=撮影)
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