独裁体制の成功例とも言われてきた「10年交代制」だが…

中国の習近平総書記は、一体いつまでトップで居続けるつもりなのか。10月16日、5年に一度の中国共産党の党大会が始まった。ここでは党の最高指導部である政治局常務委員(現在7人)の人事が行われる。

2022年10月18日、第20回党大会主席団第2回会議を主宰する習近平氏。
写真=中国通信/時事通信フォト
2022年10月18日、第20回党大会主席団第2回会議を主宰する習近平氏。

中国共産党は1981年の「歴史決議」で、毛沢東時代の反省を踏まえ、「徳と才を兼ね備えた指導者らによる集団指導体制を必ず樹立し、いかなる個人崇拝も禁止する」「指導者・幹部の事実上の終身制を撤廃する」と掲げていた。

ところが、10月11日に採択された41年ぶりの「歴史決議」には、「個人崇拝禁止」や「集団指導」の文言は記されなかった。そして、今回の党大会で、習近平総書記の異例の3期目が決まる見通しだ。このまま終身となる可能性もある。

習近平総書記の独裁体制を強める中国はこれからどうなるのか。神戸大学の梶谷懐教授(中国経済)、神戸大学の李昊りこう講師、中国政治ブロガーの水彩画氏の3人に聞いた。

3期目だけでなく4期目までが確実視されている

——日本のメディアでは「党大会の注目点は習近平総書記が3期目に突入するかどうか」と言われてきましたが、専門家の間ではかなり前から確定的と見られてきました。

【李昊(神戸大学講師)】2018年3月の憲法改正で国家主席の任期制限が撤廃されました。この時点でほぼ確実とみられていました。3期目どころか、4期目、つまり少なくとも2032年までは習近平トップでいくだろうというムードが濃厚です。もちろん、予想外の事態は起きるものではありますが、アクシデントがなければそうなるでしょう。

【水彩画(中国政治ブロガー)】ロシアがプーチン大統領とメドヴェージェフ首相(当時)を入れ替えたように、習近平総書記と李克強首相が入れ替わるという方法で体裁を取り繕うかなとも思いましたが、長期政権そのものは既定路線でしたよね。

——メディアでは「反対勢力の巻き返しがあるはず。水面下では激しい争いが……」的な読み解き方がされる一方で、専門家の間では「中国共産党が一致団結して強いリーダーを作ろうとした結果の今」という見方も有力と聞きました。