「やればできた」を残さないよう「夢をつぶす」

稲本さんには二人の兄がいる。しかし、稲本さんが20歳のときに、長兄が突然事故で亡くなった。朝会って、「おはよう」と挨拶したその夜に、警察から訃報を知らせる電話があったのだ。命のあっけなさを思い知った。

高校生の頃から、なんとなく「自分は物書きになれるんじゃないか」と信じていたという稲本さん。だが兄の死から、両親や家族の状況も変わり、「好きなことだけをしていていいのか」と迷いが生じはじめる。大学卒業後しばらくは何も行動を起こせず、モヤモヤと過ごすことに。

そうして兄が亡くなった25歳に近づいたとき、兄の死で知った「いつまでも当たり前に生きていられへん」という感覚がハッと蘇ったという。そこで稲本さんは、「自分の可能性を追求し尽くそう」と決意する。