もうひとつ大切な「顔」

加えて、もうひとつ大切なのは水谷豊の顔だ。高倉健の映画を何本も演出していた監督、降旗康男の口癖は「健さんはアイドルのように撮る」だった。山口百恵のテレビドラマを何本も演出していた降旗は「健さんも百恵ちゃんもアップを多くする。黙っているところを撮る」と言っていた。

野地秩嘉『東映の仁義なき戦い 吹けよ風、呼べよ嵐』(プレジデント社)
野地秩嘉『東映の仁義なき戦い 吹けよ風、呼べよ嵐』(プレジデント社)

「ふたりとも顔つきがいいからアイドルのように撮る。アイドルを撮る時に重要なのは身体よりもとにかく顔を撮ること」

元SMAPでは草彅剛について降旗監督は「顔つきがいい」と評価していた。草彅剛は高倉健の最後の映画で降旗作品の『あなたへ』に請われて出演している。

「SMAPのメンバーでもこの人は顔が貧相だから映画には向かない」と評した人もいた。

映画監督はつねに俳優の顔、セリフ、体の動きを見ている。そして、俳優の顔つきがよくなければヒット作品にはなりにくい。