再来年の春、東京に新しいランドマークが誕生する。いま、墨田区向島地域に建設が進められている「東京スカイツリー」だ。竣工時の高さは634m。電波塔としては世界一におどり出る。すでに今年3月末には東京タワーの333mを抜いた。マスコミ報道の加熱も手伝い、ゴールデンウイークには全国から4万人余りが現地に足を運んだ。

新タワーの経済波及効果

新タワーの経済波及効果

この時ならぬ活況に、地元はタワーおよび周辺街区の開業後の経済効果に期待を寄せる。墨田区役所新タワー調整課の渡辺茂男課長は「2年前に区が行った調査では、初年度の来場客数は2000万人余り。そのうち550万人がタワーに上る計算。その人たちの街区内での消費に伴う経済効果は880億円と試算した。この前人気で、それが現実味を持ってきた」と喜ぶ。

この2000万人という数は、隣接する浅草を訪れる年間観光客数に匹敵する。この国際的な名所の周辺エリアには、大相撲の国技館がある両国、古い江戸情緒を残す向島といったところもある。交通アクセスでもJRや東武、京成、都営・営団地下鉄など複数の路線が乗り入れているといった優位性も備えている。

そして何より、春の桜と夏の花火が風物詩の隅田川があることだ。渡辺氏は「ロケーションはパリに似ている。

エッフェル塔、凱旋門、セーヌ川は、東京スカイツリー、浅草寺、そして隅田川だ。国際観光拠点の条件は揃っている」と強気に語る。今後、これら観光資源の相乗効果を狙う取り組みが必要だろう。

(ライヴ・アート=図版作成)