企業に限らず個人でも、事件や不祥事、醜聞などが発覚し、マスコミに報道されると社会的なイメージは確実に失墜する。さらに就業規則で、「私生活上の非違行為」によって「会社の名誉信用を傷つけ」た場合には懲戒解雇ができると定めている会社が多く、報道によって犯罪が広く社会に知られることで、解雇されることは多いのだ。

新聞や週刊誌、テレビを見れば政治の話題や企業関連記事に始まり、事件や犯罪、事故、さらには芸能人のスキャンダルまで、日々、膨大な量のさまざまなニュースが流されている。こうしたニュースは、どういう基準で記事になるのだろうか。全国紙の社会部デスクが解説する。

「ニュース性の高い犯罪や事故には、殺人事件、企業の不祥事や犯罪、自動車・航空機事故などがあります。多くのニュースの中からどれを記事にするか、その扱いの大きさをどうするか、特に新聞社にマニュアルがあるわけではありません。殺人事件では異常性や悲惨さにもよるし、事故では鉄道、航空機事故など死者数の多い事故ほど紙面を割く割合は高くなります」

要は話題性、重大性、公共性、社会性などを総合的に判断して、記事として掲載するということだ。

それでは殺人や誘拐など凶悪犯罪はともかくとして、市井のサラリーマンの痴漢や万引などの場合は、どういう判断基準で“新聞沙汰”になるのか。事件がマスコミに報道されるきっかけは、警察が発表するケースがほとんどだ。ベテラン社会部記者が説明する。
「警察にもはっきりとした基準があるわけではなく、刑法犯で逮捕した容疑者を発表しているだけです。記事になれば自分のところの手柄になるし、仕事をしているというアピールにもなるので、警察としても嬉しいはずです」

公人や公務員、一流企業社員などの不祥事や犯罪は、社会性、公共性が高い場合は、些細な事件でも報道する意義があるという。社会部記者が続ける。

「悪質な犯罪は当然ですが、痴漢、盗撮、児童買春などの破廉恥な犯罪でも、公務員は確実に記事になるし、有名企業の社員、マスコミ関係者は微罪であっても記事になりやすい“御三家”といっていい。ニュースの公益性が高まると判断されれば社名も報道します」