問題の法案は、法人税率の大幅引き下げと富裕層への減税を柱とする一方で、軍事費の大幅増額と移民対策への巨額投資も盛り込んでいた。USAトゥデイ紙は議会予算局による試算を取りあげ、法案により今後10年間で3兆ドル(約430兆円)もの財政赤字が生じるとしている。日本の国家予算の約4年分に相当する赤字額だ。
政府効率化部門(DOGE)のトップとして、連邦政府の無駄遣いを削減する任務を負っていたマスク氏にとって、法案は自身の努力を無にする愚策に映った。彼は数カ月にわたって政府機関の効率化と歳出削減に取り組み、DOGEの試算によると、すでに1千億ドル以上の削減案を提示している。それなのに、削減額の数十倍の赤字を生み出す法案が提出されたのだから、怒りは理解できないでもない。
下院議長のマイク・ジョンソン氏は、批判を続けるマスク氏に直接電話をかけ、法案への理解を求めた。減税による経済成長効果や、共和党として減税の公約を履行する責任を説いたが、マスク氏は譲らない。議長は後に側近に漏らしている。「マスク氏は議会プロセスを理解していない」。理想論では政界は立ちゆかないのだ、と。
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