日本の「はどめ規定」がもたらす制約

一方、日本では、学習指導要領の「はどめ規定」により、小学校理科での「人の受精に至る過程」、中学校保健体育での「妊娠の経過」や性交については原則として授業で一律に教えないことになっている。

文部科学省は「はどめ規定は絶対的な禁止規定ではなく、必要がある場合や学校の判断で発展的内容を教えることは可能」と説明しているものの、実際の教育現場は自己忖度をして、はどめ規定に従っていることが多い。その結果、日本の性教育は避妊方法や性感染症予防、性的同意といった基本的な内容すら十分に教えられていない。

2023年に導入された「生命の安全教育」では、性犯罪防止や性的同意の指導がある程度強化されたが、依然として被害防止に特化した対策に留まっている。性の多様性、人権、ジェンダー平等といった包括的テーマは不十分で、国際機関が「日本は性教育を人権教育として再構築すべき」と繰り返し提言しているにもかかわらず、抜本的な改革は進んでいない。